Stanford大学にて行われたInternational Conference on Systems Biology (ICSB)に8月31日から9月3日にかけて参加しました。ICSBは今回で10回目を迎え、世界各国から数百人の研究者が集まる、systems biologyの学会としては一番大きいものです。 

 では、この学会のテーマであるところのsystems biologyとは何か?という命題に答えるは非常に難しいです。そのことを物語るのは、ICSBでの発表者の一人の次の発言でしょう。

  "I like systems biology, because it's a license to do everything you want to do..." 

 なるほど、そんなものかと思いましたが、この発言の通り、進化に関することから画像処理やシミュレーションに関することまで多岐にわたってセッションが設けられていました。

 その中でも我々免疫学の研究者の視点から注目すべきは、免疫に関するセッションが独立してあったことです。そこではご存じAlan Aderemなどの研究者が発表を行っていました。これから免疫学においてもsystems biology的な研究が重要になっていくことを表しているように思います。また、顕微鏡観察などによって得られた画像を自動でいかに整理しかつ情報を抽出するかといったことに力点が置かれたセッションもありました。当研究室のあるIFReCのテーマであるimagingとinformatics、さらにはimmunologyの間に高い親和性があることをうかがわせるものです。 
 
 他に注目すべきトレンドとしては、技術の進展と陳腐化のスピードが格段に上がっていることです。たとえば、もはや遺伝子発現の網羅的解析は陳腐化していますが、比較的新しい技術である次世代シーケンサーを用いた解析ですら陳腐化しつつある印象を受けました。これからはいち早く技術を取り入れるのみならず、アプリケーションがよほど良くないと研究で勝ち残れないと思います。 

 しかしながら、未だsystems biologyが"license to do everything"でしかないことも否めない印象でした。また、今までの研究は微生物を用いた研究が主でしたが、そこで成果を挙げて去年のICSBでは素晴らしい発表をしていた研究者たちですら、より複雑なシステムである多細胞生物において研究を行うとなると苦労しているような印象を受けました。トレンドとしてはsystems biology的な研究が多くなっていくことは確かだと思いますが、その中にあっても表面的な研究に流れずに、自分なりの"systems biology"とは何か、という問いに答えながら免疫についての理解を深めていかなくてはならないということを再確認した4日間でした。

文章:熊谷    
 今回、私達は9月17日から19日に韓国のソウルで行われた2009 JST-KICOS Cooperative programme of IFReC and IVIに参加しました。当ラボからは、審良教授、竹内准教授、河合准教授、植松助教、Coban助教、熊谷助教、三宅さん、そして私佐藤が参加し、全員口頭での発表となりました。私にとって今回は初めての英語での口頭発表であり、学会前の数日は緊張のあまりほとんど眠ることができませんでした。 

 学会会場の国際ワクチン研究所 (IVI)はソウル大学キャンパス近隣にある研究所です。学会が始まる直前にソウル大学内を案内して頂きましたが、あまりの規模の大きさと人の多さには圧倒されました。

 学会では、自然免疫に関わる分子の機能解析や構造解析、粘膜免疫系を司る免疫細胞の分類と役割の解析、獲得免疫誘導機構の解析、systems biologyなどに関する内容が未発表データも含め数多く発表されました。韓国と日本の免疫学のレベルの高さに触れることができました。また、参加者全員が会場内で昼食や夕食を取り、会場で質問できなかった内容を更に討論したり研究以外の話に花を咲かせたりし、非常に有意義な時間を過ごすことができました。 

 自分の発表についてですが、なんとかpresentationは切り抜けられたものの、質問に対しては適切な答えが見つかりませんでした。それにもかかわらず、フラフラ状態で自分の席に帰る途中、審良先生から「マル」と笑顔で声をかけて頂きホッとしました。後のcoffee breakにて、再び審良先生と話をし、先生の最初の発表の時の経験談やプレゼンのコツを教えて頂きました。 

 今回の学会は、韓国という異文化に触れる経験もでき、そして何より国際学会で口頭発表するという研究者として大切な経験もでき、自分にプラスになるものとなりました。「the innate immune systems recognize viral infection via...」と言うintroductionから始まるtotal 12分の英語の文章を、一生忘れることは無いと思います。また発表の機会が得られるように、これからも日々研究を続けて行こうと思いました。 

 今回、幹事をされたIVIのMi-Na Kweon先生は、私達を温かく迎えて下さいました。そのおかげで、全員気持ちよく過ごすことができました。この場を借りてお礼申し上げます。 

文責 佐藤荘

*より詳しい内容はコチラを参考にしてください



DSC02007.JPGのサムネール画像

ページトップへ